雑草という植物はないというお言葉にこめられるもの
昭和天皇に「雑草という名の植物は無い」というお言葉があります。
植物学者の牧野富太郎の言葉でもあったようですが。
それにしても、なぜだか「雑草」は人に愛されません。
草を抜かないという事は、基本的に人から疎まれます。
公園の掃除がよくありますが、そこで行われるのは、日本古来の在来種を抜き取って、外来種の花を植えることです。
春の七草、夏の七草は雑草に・・
春であれば、カラスノエンドウ、ナズナ、ホトケノザ、ハコベ、ハハコグサ、、などは全て刈り取られます。
夏ではエノコログサ、ツユクサ、カヤツリグサ、ススキ、ハギ、クズ、、
一般的に知られていないようですが、「雑草」と言われている植物には「元園芸種」の植物も少なくありません…
オオイヌノフグリとか、ムラサキカタバミなど、つまり古くから我々のワガママで増やされたり、抜き取られたりを繰り返されているのです。
春の七草、夏の七草をすべて言えますか?
言えなかったとしても、けっして恥ずかしくはないのではないでしょうか、
なぜなら、もはや七草は「雑草」なのですから..
カラスノエンドウや、ナズナを好きだからと庭に植えていると、変わり者扱いになるでしょう…
このように日本に古くから自生していた植物は、今やそのほとんどは「雑草」のカテゴリーに入れられるように思います。
植物を抜くのも、手で抜いたり、草刈機などであれば、良い方ですが、
まだまだ「除草剤」の使用は多いでしょう、
インターネットでの売れ筋ランキングに、除草剤がいくつかランクインしている現実。。
環境への負荷は計り知れないと考えます。
ビオトープの先駆者、昭和天皇
昭和天皇は昭和12年より、吹上御所に人間の手を入れる事をお止めになられました。
満州事変、226事件など、きな臭い時代になりつつある中で、いったいどのようなお気持ちでこのようなご判断をされたのでしょう。。
また、大正時代以降の経済発展により、都市化の進む東京市、特にこの昭和の初め頃はそれが顕著だったでしょう。
芝生の手入れが停止され、更に3年後には庭園としての管理も停止されたそうです。
人の手を入れず、基本的に自然任せになり、戦後には武蔵野の自然が吹上御所内に移植もされるようにまでなります。
もはやこれは庭園というよりも、自然そのものではないでしょうか。。
文字通りの手つかずの自然となった今では、貴重な動植物の生息域となっています。
元禄時代からそこで育つ、ケヤキ並木がそのまま残っていたりするそうです。
そして、夏にはコンクリート化された都会に、冷やされた空気を送る天然のクーラーの役目を果たしているとのことです。
環境保全のむずかしさ
これはビオトープのさきがけ的な取り組みではないでしょうか?
昔ながらの日本の自然は移植までされますが、ヒメジョオン、ハルジョオン、ヒメムカシヨモギなどの外来種は、天皇ご自身でお抜きになられたとの事です。
外来種にやかましくなったのは平成になってからではないでしょうか?
天皇家の祖先である神々はその昔、木を植えたりしてこの日本を自然豊かな国に作り替えてゆかれました。
いまわれわれは先祖がお作りになったこの自然を、環境破壊や、外来種増殖、植林された森の放置、などなどなんと恥ずかしい管理をしていることでしょう。
これでこれから百年先、千年先の子孫たちに伝えていけるのでしょうか??
わが国のたちなほり来し年々にあけぼのすぎの木はのびにけり
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